CASE 03

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臼歯隣接部における確実なコンポジットレジン修復
ーバイオクリアーダイヤモンドウェッジー

福石歯科医院 吉野 弘三 先生

ダイレクトコンポジットレジン修復は、ミニマルインターベンションコンセプトで必要な修復方法である。とくに、歯質接着システムの歯質接着性および光重合型コンポジットレジン(以後、CR)の物性強度や耐久性などがより向上し、臼歯部では単純窩洞のみならず、歯間隣接部にもCR修復が可能となった。しかし、臼歯隣接部に起こるう蝕に対するCR修復は、辺縁隆線の形態付与・コンタクトの回復・歯間歯肉の保護など難しいテクニックが必要である。つまり、確実なCR充塡をおこなうためには、その修復過程に必要な器具の選択とその知識を十分に理解していなければならない。
今回、「バイオクリアーダイヤモンドウェッジ」を使用した臨床例で、これらの課題をどのように解決できるか紹介したいと思う。

16の近心歯間隣接部および咬合面の不良CR直下にう蝕が認められる。近心部のう蝕が大きいために、辺縁隆線を含む窩洞形態が予測される(図1)。まず、CR修復において、ラバーダム防湿を必ずおこなうことが重要である。つまり、歯質接着性およびCRの物性などに影響をおよぼす唾液や呼気中の水分などの阻害因子を除去することで、確実な修復をおこなうことができる(図2)。歯面処理の前にウェッジの試適をおこない、適合状態を確認する(図3)。

図1

図2

図3

このウェッジの特徴として、先端は伸縮性のあるダイヤモンドカット形態をしており、またサイズも豊富であらゆる歯間隣接部の形態に適合することができる。また、ラバーダムによって歯間歯肉部を保護しているが、このウェッジは先端が上向きになっており、底面はV型の形態をしているので、ラバーダムを巻き込まずに歯間歯肉を傷つけることなく挿入が可能である。

歯面処理時は、隣在歯に歯面処理材が触れるとCR修復後のコンタクトや歯面などに影響をおよぼすため、テフロンテープなどで保護をすることが必要となる(図4)。

図4

歯面処理後、隣接面および辺縁隆線の形態を付与するマトリックスがウェッジでしっかりと把持できているか挿入状態を確認する(図5-7)。このウェッジの形態で歯間分離させる効果を持っているが、可能であればリングを使用し、コンタクトを再現することをお勧めする(図8)。

図5

図6

図7

図8

隣接面の充填後での多くの悩みは、コンタクトが不十分であったり、形態修正が困難という点だと思われるが、ウェッジの挿入状態を含めた器具の的確な選択使用で十分解決することができる(図9-10)。

図9

図10

また、深い窩洞でウェッジでのマトリックスの保持が困難な症例の場合、このウェッジには「ディープカリエスウェッジ」がラインアップされている。ウェッジ中央部にファーカルフレア(図11)が設定されているので、歯肉縁下に近いマージン部でもしっかり保持することができる(図12-14)。
とくに今回使用した「バイオクリアーダイヤモンドウェッジ」は、臼歯隣接部のCR充填の難しさを解決してくれる器具のひとつと考えられる。記載した注意点を踏まえて、より確実な臼歯部のダイレクトコンポジットレジン修復をおこなっていただきたいと思う。

図11

図12

図13

図14

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